柚と柊の秘密








結局、練習はなんとか終わった。

あたしは本当に思っていたより壊滅的な状況ではなかったらしい。

なんと、速度を少しゆっくりにしたら通して演奏出来ることが分かった。

頑張ったかいがあった。

この曲もまだまだ不十分だし、他に三曲も課題がある。

だから、安心することなんて出来ないけど。

でも、頑張ろうと思った。

やる気が出てきたよ。

あたし、褒められると伸びるタイプなのかな?






「柊、本当にありがとな」




優二君が顔をくしゃっとさせてあたしに言う。




「柊には無理矢理ギターさせてしまったけど」



「ううん、大丈夫だよ」




お人好しのあたしは優二君をけなすことなんて出来ない。

優二君の無理な誘いのせいで、こうなってしまったのに。



< 118 / 363 >

この作品をシェア

pagetop