柚と柊の秘密
結局、練習はなんとか終わった。
あたしは本当に思っていたより壊滅的な状況ではなかったらしい。
なんと、速度を少しゆっくりにしたら通して演奏出来ることが分かった。
頑張ったかいがあった。
この曲もまだまだ不十分だし、他に三曲も課題がある。
だから、安心することなんて出来ないけど。
でも、頑張ろうと思った。
やる気が出てきたよ。
あたし、褒められると伸びるタイプなのかな?
「柊、本当にありがとな」
優二君が顔をくしゃっとさせてあたしに言う。
「柊には無理矢理ギターさせてしまったけど」
「ううん、大丈夫だよ」
お人好しのあたしは優二君をけなすことなんて出来ない。
優二君の無理な誘いのせいで、こうなってしまったのに。