柚と柊の秘密
俺はちらりと山形を見た。
すると、山形と視線がぶつかって、慌てて逸らす俺。
そして、やっぱり俺の中の炎がぼおっと燃え上がる。
ありえないのに。
山形なんて、ありえないのに!
でも、認めないといけないのか?
「ねぇ、戸崎さん?」
山形の言葉で我に返る。
「もし良かったら、あそこのお店でお昼食べない?」
「は?」
俺は山形をガン見する。
こいつ……
まだ俺を振り回す気かよ。
山形は俺を振り回す気満々らしく。
不意に俺の手をぎゅっと掴んだ。
その瞬間、味わったことのない大きな電流が身体に流れる。
その細い指、滑らかな肌の感触を確かめ、心臓から火を噴きそうだ。
俺……
やっぱり……
俺は抵抗出来ず、山形の手を握りしめたまま俯いた。
俺……
山形が好きなのか?
……山形だぞ?
ありえねー。
ありえねーから……
明日だけ柊に戻って、冷静に考えよう。