柚と柊の秘密
あたしは、そのまま健吾君と並んで歩いた。
背の高い健吾君の歩幅は広く、あたしは早足になってしまう。
斜め前を歩く健吾君を見上げる。
その流れる髪。
細いが少し硬そうな首筋。
全てがあたしの胸をかき乱し、彼に手を伸ばしそうになる。
この気持ち……
この変な気持ち……
あたし、健吾君が気になる。ただ気になるんじゃない。
きっと好きなんだ。
自己完結に至り、愕然とした。
なんで健吾君なの?
健吾君はあたしに酷いことを言ったし、関わりにくいし。
あたしと健吾君、きっと仲良くなれないよ。
なのに、なんで健吾君なの!?