柚と柊の秘密







健吾君と近くの定食屋に入った。

学校からも近く、よく男子がたまっている店だ。

あたしは今まで入ったことがないが、柊は男友達と頻繁に来ている様子。

いずれにせよ、デートで来るような店ではない。

まさかこの店に入ることになるなんて。





暖簾をくぐると、




「いらっしゃーい」




威勢のいいおじさんの声が聞こえた。





健吾君は奥の座敷に上がり、背中にかけていたギターを隣に置く。

あたしはその前に座った。



ドキドキドキドキ……



鼓動が速い。

健吾君と二人きりだから。

嬉しいの?

それとも、逃げたいの?

どうしたいのかすら分からない。

だって……

健吾君のことが気になるけど、健吾君と仲良く話なんて出来ないから。

話しかけられると、ウサギみたいに怯えてためらってしまうんだ。



< 132 / 363 >

この作品をシェア

pagetop