柚と柊の秘密
今日はもう帰ろうかな。
弱いあたしはそう思った。
そして、踵を返して玄関に向かおうとした時……
「わー!
調子こいてる女みーつけた!」
またもや嫌な言葉が聞こえた。
調子こいてる?
あたし、そんなつもりないよ。
「柊君が可哀想。
あんな奴が妹だから」
やっぱりそう思うよね。
「柊君のお荷物」
あたしもそう思うよ。
がっくりうなだれる。
気にしないでおこうと思っても、気にしてしまう。
あたしもそう思ってるんだよ。
あたしのせいで健吾君にバレてしまって、もしかしたらおおごとになってしまうかもしれない。
あたしは、柊の足を引っ張ることしか出来ないんだよ。
「戸崎柚って顔だけだな」
あたしもそう思う。