柚と柊の秘密
「ごめんなさい……
ごめんなさい……!!」
ひたすら謝るあたし。
健吾君の前で泣きたくなんてないのに、濡れた頬をさらに涙が伝う。
「あたしのせいで……」
「落ち着け」
健吾君の静かな声が聞こえ、手をぎゅっと握られる。
温かくて大きな手。
触れていると、何だか安心する。
健吾君、やめてよ。
いつも冷たかったのに、急に優しくしないで。
あたし、健吾君のことを諦められなくなる。
「……酷いよぉ。
色んな意味で酷い」
思わず口走っていた。
「酷い?……俺が?」
健吾君の言葉で我に返り、咄嗟に否定する。
「ごっ……ごめん!
あたしが酷いんだよぉ」
あたしの馬鹿。
何てこと言ったんだ。
だけど健吾君は、
「……そうだな。
俺が酷かった」
あたしの手を握ったまま、静かに告げた。
その言葉があたしの心を震わせ麻痺させる。
新たな涙が溢れ出るのをぐっと我慢する。