柚と柊の秘密





「柚は一人で頑張ってる」



「え?」




あたしは再び健吾君を見た。

その切れ長の瞳はいつもよりすごく優しくて。

胸がキュンキュンいっておかしくなりそう。






あぁ、好きだよ、健吾君。

健吾君の言葉、手、まなざし、全てがあたしを惹きつけて離さない。

あたし……どうしたらいいの?







「俺、協力出来ることないか。

頑張りすぎの柚を、これ以上見ていられない」




嬉しい。

すごく嬉しいよ。

あんなに冷たいと思っていた健吾君なのに。

なのに、本当はすごく優しいんだね。





「そう言ってもらえるだけで、あたしは幸せだよ」





本当に、本当に幸せ。

秘密、バラされないんだ。

健吾君も怒っていないんだ。

そして、まだ健吾君の近くにいられるんだ。




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