柚と柊の秘密






「……本当に、欲がない女だ」




健吾君はボソッと呟いた。




「え?」




思わず聞き返すと、




「俺に出来ることはないのか」




再びそう言われる。




そうだね。

あたし、甘えちゃっていいのかな。

嫌われないかな。

でもね……





「近くにいてほしい」




あたしはそんな言葉を発していた。

自分でもびっくりだ。

さっきからあたし、何てこと言ってるの?

絶対、気持ち悪い人だと思われたよぉ。

嫌われたくないのに。






「あ……あの……!」




慌てて取り繕い、必死に言葉を探す。

何て言い訳しよう。

どうしたら怪しまれないのかな。





「分かった」



「!?」




健吾君の予想外の返事にどぎまぎしてしまう。




健吾君、どんなつもりで言ってるんだろう。

もう、考えるのも怖いよぉ。





だけど、





「これからもよろしく、柚」




そう言ってくれた健吾君に、すがってしまうあたしがいた。





離れたくない。

あたしの気持ちはもう止まらない。

あたしは、健吾君が大好きです。




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