柚と柊の秘密
「柊君、おはよっ」
俺に向かって手を振る女子。
茶色の巻き髪に、ぱっちり二重の可愛い系。
名前は忘れちまった。
だけど俺はそいつに歩み寄り、腰に手を回す。
例外なく彼女は赤くなって、俺を見上げた。
目がとろんとなって、完全に俺にホレている。
「いい?」
俺は彼女の耳元で囁く。
彼女はびくっと体を震わせ、俺に寄りかかる。
「朝から?」
「あぁ。お前を抱きたくて仕方がない」
こう言うと、大抵の女は落ちる。
そして、日時場所に関係なく、あっさりとその足を開く。
俺には、山形よりこういう女が似合っている。
……そうだよな。
こいつとヤったら、全て忘れられる。
愚かな俺は、名前も知らない女の肩を抱き、サッカー部の部室の隣の、使われていない部屋に入り込んだ。