柚と柊の秘密








俺は埃っぽいその部屋で、名前も知らない女を抱いた。

だけど、その女を見ながら……

山形のことを考えていた。




山形も抱いたらこんな顔するのかな。

あの細い腕で俺にしがみつくのかな。

……何考えてんだ、俺。




邪念を振り絞るように顔を振る。





「どうしたの?」




女は心配そうに俺を見て、




「お前があまりにも可愛いから」




なんてでまかせを言う。

すると、女は嬉しそうに首をすくめ、頬を赤くする。




山形もこんな顔をしたよな。

俺が柚に変装しているとき。

山形ってやっぱり女が好きなんかな。

もしそうなら、俺はどうしたらいい?




……は?

俺、なんでまた山形のこと考えてんだ?

冗談だろ、どうしちまったんだよ。





混乱する俺。

こんな俺に、最後のバチが当たった。




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