柚と柊の秘密
宿題もしないといけない。
だけど、ギターに夢中になってしまって。
分からない部分は何度もiPodで聴く。
すると、リズムや音がするすると頭に入ってきて、出来るようになった気がした。
一曲目よりも難しいはずなのに、二曲目はすんなりと進む。
あたし、力がついてきたのかな?
頑張らなきゃ。
そう思った時……
ガチャッ……
地下室の扉が開き、思わぬ人が顔を覗かせた。
金髪の長めの髪。
派手なシャツに、白い細身のパンツ。
ネックレスとか、ピアスとか、ブレスレットとかをジャラジャラいわせたその人は、お父さんと同じグループ Fのリーダー、
「優弥おじさん」
だったのだ。
お父さんは会社員をしながら、バンド活動を続けている。
会社員が本業だ。
だが、優弥おじさんはバンド活動が本業。
お父さんたちのグループ Fのプロデュースだけではなく、たくさんの有名アーティストを抱えている。
艶といったら誰もが知っているカリスマなのだ。
もちろん、ギターの腕もすごい……らしい。
日本で三本の指に入るとか。
そんな優弥おじさんにあたしの下手な演奏を聴かれるなんて恥ずかしすぎて。
あたしはギターを後ろに隠した。