柚と柊の秘密
優弥おじさんはあたしを見て、よぉと手を上げる。
相変わらず怖い顔だ。
お父さんはいつもにこにこしているのに、優弥おじさんはいつも口をへの字に曲げている。
同じ仲間なのに、全然違う。
優弥おじさんはあたしに優しいが、やっぱり少し怖い。
優弥おじさんを見ながら一歩下がるあたしに、
「柚ちゃん、ギターやるんだって」
相変わらずにこりともせずに言う優弥おじさん。
あたしは優弥おじさんを見たまま、黙って頷いた。
嘘をつけなかった。
優弥おじさんに見られると、全て見透かされてしまいそうで。
「柚ちゃんのお父さん、出かけてるみたいだしおじさん暇なんだよな」
優弥おじさんはそう言って、いつもお父さんを追いかけ回している。
今日もお父さんが帰るまでうちで待つのだろう。
そんなことを考えていると、この世で一番恐ろしい言葉をかけられた。
「柚ちゃん、おじさんに聴かせてよ」