柚と柊の秘密
「柚ちゃんはお父さん譲りなんかな?
頑張り屋だし……
聴かせるギターが出来る」
「聴かせる……ギター」
「耳から離れなくなる。
人を惹きつけて離さなくなる」
「でも……
でも、お父さんはあたしとは全然違う」
思わず言っていた。
優弥おじさんまで下手なあたしに同情しているのかと思ってしまったから。
当然だよ。
お父さんみたいな技、あたしには出来ないよぉ。
「柚ちゃんのお父さん、一応プロだからね」
優弥おじさんは苦笑いをする。
「プロが初心者に負けてはいけないよ」
そっか……そうだよね。
優弥おじさんの言葉に深く納得する。
そしてあたしは、ポロっと本音を零してしまっていた。
「やっぱりギターは難しいんだね。
リードギターじゃなくて、お父さんみたいなサイドギターのほうが簡単そう」