柚と柊の秘密






再び練習をしようとした時、ガチャリと扉が開く。

そして、




「優弥!柚ちゃんに手ぇださないでくれる?」




口を少し尖らせたお父さんが顔を覗かせた。

優弥おじさんはため息をついて、腰を上げる。

そして、




「てめぇがいねぇからだろ」




いつものように暴言を吐いた。




あたし、こんな優弥おじさんばかり見ていたから、怖い人だと思ってしまっていたのかな。

優弥おじさん、あたしにはすごく優しかった。






「蒼。てめぇフラフラ遊んでると、柚ちゃんに負けるぞ?」



「はぁ?」



「柚ちゃん、てめぇ以上にギターのセンスあるぞ?」



「よく分かってるじゃん」





お父さんはガミガミ怒鳴る優弥おじさんをいつものようになだめながら、地下室を出ようとする。

あたしは、そんな二人の後ろ姿を見ていた。




ほわっとしているお父さんと、シャキシャキの優弥おじさん。

正反対のタイプに見えるけど、ステージに立った二人はかっこいいんだから。

あたしもあんな風に輝けるといいな。


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