柚と柊の秘密
「ほぉ。珍しく父親みたいなこと言うな」
「失礼な。ちゃんと父親してますよーだ!」
相変わらず子供みたいなお父さんと、ドSの優弥おじさん。
まるで漫才コンビだ。
「柚ちゃんは素質があるから、うちのプロダクションでアーティストにしてもいいがな」
「駄目!それだけは絶対駄目!!」
二人はそんな言い合いを繰り返しながら、階段を上っていった。
なんとなく分かっていたけど、お父さんはあたしが芸能界に入るのには反対だ。
まぁ、それだけの才能もないとは思うけど。
でも……
お父さんは会社員をやりながら、Fの活動もしているよね。
今さらながらにすごいと思った。
ここで、ふと思う。
あたしは何をしたいんだろう。
そして……
健吾君は何をしたいんだろう。
高校を卒業したら、もう健吾君に会えなくなるのかな。