柚と柊の秘密
家に帰ると柚がギターの練習をしていた。
つい最近始めたのが嘘のように上手い。
そう、上手いのだ。
音感ゼロの俺が聴いてもすごいと思う。
やっぱり柚は超人、さすが俺の妹なだけある!
「柚、すげーじゃん」
俺は地下室の扉から顔を出し、柚に言う。
柚は俺に怒るかと思いきや、
「ありがとう」
笑顔で礼を言った。
どうしちまったんだ?
なんでそんなに素直なんだ?
俺のせいでギターをすることになってしまったのに。
俺にムカつかないのか?
少しだけ思った。
俺が柚みたいな性格だったら良かったのかもしれない。
平和主義で、温厚で、のんびり屋で。
そんな奴だったら、山形は振り向いてくれたのか。