柚と柊の秘密
そんなことを考えていたら、なぜか脳裏に浮かんだ男、柳。
俺のことを散々けなして去っていった、嫌な男だ。
柚は柳のことで悩んでいた。
柳に入れ替わっていたのがバレてしまったから。
だけど、柳は意外にも柚には好意的なようで。
「柳健吾……」
彼の名を出すと、ビクッと飛び跳ねる柚。
心なしか顔が赤い。
可哀想に、柚。
そんなに柳に怯えているのか。
「あいつ、柚のこと、バラすつもりはなさそうだぞ?」
そう言うと、柚は俯いたまま頷いた。
俺は知らなかったんだ。
柚が柳に対して、どんな気持ちを抱いているのかを。
そして、柚も知らない。
俺が今、恋をしている相手を。