柚と柊の秘密
「おい」
俺はたまっている男に歩み寄る。
手にはモップ。
戦闘準備だ。
「うわっ、出た出た。戸崎柚」
案の定俺をナメる男たち。
薄ら笑いを浮かべて俺に近付く。
「戸崎柚。
お前のせいで、山形が酷い目に合うんだぞ?」
ズキッ……
俺の胸が痛む。
俺のせいだ。
俺のせいで山形が……
俺、散々カッコつけてきたけど、好きな女一人守れないなんていけないな。
ここでこいつら全員ぶちのめしてもいいけど……
閃いたぞ。
「……ごめんなさい」
俺はしょんぼりと肩を落とし、上目遣いで男たちを見る。
男たちは目を見開いて口を閉じ、一歩下がる。
「あたしのせいで、山形さんが……」
そして、わざと瞳を潤ませると、例外なく男たちは顔を赤くした。
馬鹿め。
俺様の魅力は、女になっても健在なんだよ。