柚と柊の秘密
「あたし、なんでもする。
だから、山形さんには何もしないで」
俺の言葉に、
「でも、俺らは……」
たじろぐ奴ら。
愚かな男たちだ。
俺の色仕掛けに落ちて、何も出来なくなる。
俺の勝利も同然だ。
「あたしが代わりになるから。
……山形さんのところに、連れていって」
山形、待ってろよ。
お前は俺が嫌いで仕方ないだろうが、俺はお前を助けてみせる。
俺に助けられることは、山形にとっては屈辱かもしれない。
だけど、俺は嬉しいんだ。
たとえ山形が振り向いてくれなくても、お前の力になれたことが。
右手のモップをぎゅっと握りしめた。