柚と柊の秘密







「柊君、カッコイイ」



「今日は部活出ないのぉ?」




そんな女の子の声に、




「ギターやらないといけないから」




答えるあたし。

女子たちは顔を赤くして、




「文化祭、絶対見に行くからさぁ」




なんて言う。



あー、なんだろう、この扱いの差。

あたしが柚に戻った時は、学年中から嫌悪の眼差しで見られた。

だけど、今は違う。

熱い眼差しだ。

何だか悲しくなってくるよぉ。






「柊君はカッコイイけど妹はね」




ほら。

そんなこと堂々と言う人もいる。




「柚ちゃん、柳君を落としたみたいだよ?」



「柳君を顎で使ってるんだって。こわー」




耐えきれなくなって、




「そんなの違うよ!」




叫んでいた。




健吾君はあたしを助けてくれた。

でも、顎で使っているわけじゃないし、落とされたのはあたし。

健吾君、愚かなあたしなんかと噂になっちゃいけないよぉ。





歯向かうのは怖い。

でも、言わずにはいられなかった。




「そんなに柚や健吾君をいじめるなら、俺が許さないから!」



「柊君?」




女子たちは驚いた顔であたしを見る。




「俺は柚と健吾君の味方だから!!」




< 207 / 363 >

この作品をシェア

pagetop