柚と柊の秘密







「柊」




聞き覚えのある声を聞いて、ビクッとする。

振り向くと、ニコニコ笑顔の優二君がいて。

期待いっぱいであたしに聞く。





「ギター、どこまで進んだ?」




あぁ、絶対聞かれると思ったよぉ。

柊が変なことを言ってしまうから。

あたし、頑張ったよ?





「一応……全部終わった」




ひととおり弾けるようにはなった。

ほぼ徹夜で頑張ったから。

だけど、




「ただ弾けるだけ。

まだ全然ダメだよぉ」




その通りなのだ。

お父さんや優弥おじさんみたいに人を惹きつけることが出来ないのは当然。

それ以前に、ただうるさいだけのギターなのだ。





「難しいよね、ギターって」




そう言うと、




「柊……本当に……」




健吾君は目を丸くする。




「本当に柊って天才だ!」



「天才だなんて言わないでよぉ」




あたしは恥ずかしくなって俯いた。




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