柚と柊の秘密




「だから俺たちも頑張らなきゃいけないんだけど……」




そう言いながら、優二君は困った顔をする。




「練習場所の貸しスタジオいくつも当たったんだけど、全然取れなくて。

しばらく全体練習出来ないや」



「そっか……それは困るね」




慎也君も優二君に賛同する。




そうだよね。

みんなで練習出来なかったら曲のイメージも掴みにくいし、バランスも分からないし、まとまりもないし。

それに……

いけないことだけど、健吾君にも会えなくなる。






ちらりと健吾君を見た。

すると、健吾君の切れ長の瞳と視線がぶつかって。

顔にかぁーっと血が上って思わず目線を逸らす。




はぁー、禁断の恋、辛いよぉ。

何とかして、この恋心を押さえつけなきゃ。

そう思えば思うほど燃え上がってしまうのが恋。

視線の端に健吾君を捉えるだけで、あたし、沸騰してしまいそう。



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