柚と柊の秘密









「……な、柊?」




急に話を振られ、ビクッとする。

まずい、あたし、健吾君に夢中で上の空だったよぉ。





「ううううん!」




変な反応をしてしまうあたし。

こんなあたしを三人が注目する。





「柊のお父さん、いつもどこで練習してるの?」



「ええ……えっと、家の地下室か、リーダーの家のスタジオか……」




慌てて答えるあたしに、




「すごい!柊の家、地下室があるんだな」



「やっぱりプロは違うなぁ」




なんて言われて。




「そそそそんなことないよぉ!

地下室は狭いし、最近お父さんオフで練習してないし」




慌てて言い訳をする。

だけど、これがいけなかったんだ。




「柊の親父さん、地下室使ってないのか?

じゃあ、俺たち使えるじゃん!」




なんて言いだす健吾君。

さらに慌てるあたし。




「四人入ると狭いよぉ?

それに、ドラムセットなんてないし!」




だけど優二君はすっかりその気らしくて。




「ドラムは俺の電子ドラム持ち込むから大丈夫だって!」




なんてごり押ししてくる。





みんなが期待するスタジオとは程遠い。

でも、それでもいいなら……




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