柚と柊の秘密
ショートカットに化粧っ気なし。
女子力ゼロ。
俺にとって、全く魅力のない女、山形みどりが。
「戸崎」
奴は、女性としては低めの声で俺を呼ぶ。
「あんた、チャラついてないで……」
うぜ……
「サッカーしっかりしろよ!」
彼女は怒鳴りながら、俺の顔面にサッカーボールを力いっぱい投げつけた。
サッカーボールは俺の顔面にバコッと激しい音を立てて当たる。
この、俺様の芸術ともいえる綺麗な顔に!
くそ……山形。
こいつ、ただでは済まさねー!
「……んだよ、オトコオンナ!」
俺は悪態をつく。
山形はフンッと鼻を鳴らして俺に背を向けた。