柚と柊の秘密
冷たいシャワーに打たれ、奪われる体温。
それでも、濡れたシャツを通して山形の熱が伝わってくる。
見た目よりも柔らかくて小さくて。
きつく抱きしめれば壊れてしまうのではないかと思った。
そんな愛しい女を、俺は優しく優しく抱きしめる。
「……戸崎」
山形は震える声で俺を呼ぶ。
胸がジーンと痛む。
「ごめん……
それに……
ありがとう」
山形はそう言い残し、俺の胸の中に崩れ落ちた。
俺はそんな山形を、ずっと抱きしめていた。
ドキドキドキドキ……
止まりそうに速い鼓動。
身体は濡れているのに、心臓は爆発しそう。
理性が飛びそうな俺の脳裏を、山形の言葉がよぎる。
戸崎。
山形は俺をそう呼んだ。
山形、柚のこと、戸崎さんと呼ぶよな。
……まさか
……まさか……な。