柚と柊の秘密






健吾君は少し困った顔をしてあたしを見る。




「何も思わないのか?

無理矢理ギターすることになったり、家を練習に使われたり」



「うん」




あたしは笑顔で答えていた。




「あたし、嬉しいの。

みんなに喜んでもらえて。

それに、ギター練習するの、楽しいんだよ」



「そっか」




健吾君はあたしを見て、少し頬を緩める。

この顔が好きだ。

もっともっと健吾君の笑顔を見たい。





「健吾君も楽しいでしょ?」




そんなことを聞いたあたしに、健吾君は教えてくれた。

初めて聞く、健吾君のことを。




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