柚と柊の秘密
「あっ、戸崎柊君きたよぉ」
ガールズバンドから黄色い悲鳴が上がる。
「柊、すげー上手いんだろ?」
そんな噂まで立っている。
ハードル上げないでよ。
だいたいのグループは好意的で、こんな話をしていたのだが……
「マジ迷惑だよな」
あたしの耳に飛び込む、敵意に満ちた声。
「あの人たち、イケメングループでしょ?
上手くないくせに」
それってさ……
疑いようもなく、あたしたちのグループに言ってるんだよね。
確かに柊はモテるし健吾君もかっこいいし。
優二君は注目度アップで柊を誘ったんだけど。
上手くないとか言われて悔しいな。
「あの人たちだよ、プロ入り目指してる先輩のグループ」
優二君が小声で教えてくれる。
「技術はあるんだろうけどさ、性格悪そうだよな」
確かに。
あんまり人の悪口とか言いたくないけど、あの敵意丸出しのグループは好きになれないな。
でも、プロ入り目指してるんだよね。
それは素直にすごいと思う。