柚と柊の秘密
「なぁ、賭けしないか」
先輩は口元を緩めて笑う。
「文化祭のバンド投票。
俺たちが勝つか、お前らが勝つか」
「……」
「負けたほうが坊主になる」
その言葉に、
「えぇ!?」
思わず声を上げていた。
坊主?
冗談じゃない。
あたし、女だよ。
それに、仮に柊が坊主になってくれたとしても……
柊、絶対怒るよ。
あのチャラ茶髪、毎日楽しそうにセットしてたんだもん。
「無理なのか?」
何も言い返せない。
嫌だと言えばいいのに、そうしたら負けた気がして。
あたしにもちっぽけなプライドがあるのかもしれない。
「ま、お前らにはビジュアル票が入るからな。
それでもお前らに負ける気がしない」