柚と柊の秘密






「戸崎」




そう呼ばれ、ビクッと身体を震わす。

顔を上げると健吾君の切れ長の瞳と視線がぶつかって。

さらにビクッとなった。

でも、健吾君はもちろん何も感じていないようで。





「戸崎は気にするな。

俺たちの精一杯で頑張ろう」




こんな優しいことを言ってくれる。




あぁ、もう駄目だよぉ。

こんな時なのに、健吾君にドキドキしてキュンキュンして。

バンド内恋愛厳禁なのに、健吾君にときめいて仕方がない。




「決まりだな」




先輩は勝ち誇ったように言う。

優二君と慎也君、そして健吾君は頷いた。





あたしも頑張らなきゃ。

三人の足を引っ張らないように。

そして、ビジュアル票なんて言われないように。




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