柚と柊の秘密
「あれ、山形。
今日の昼は部活でメシじゃねぇの?」
そう聞くと、
「うん。なんだか戸崎さんとご飯が食べたくなってしまって」
そんな可愛いことを言う。
そして、少しだけ頬を染めた。
やべぇよ、俺だって真っ赤になりそうだ。
山形ってマジでいい女だ。
だけど……
こいつ、何を考えるんだろう。
俺の秘密、気付いているのかいないのか?
……気付いてないよな。
気付いていたら、間違いなく変態扱いする。
山形はそんな女だから。
「じゃ、一緒にメシ食おうよ」
俺は笑顔で山形に言う。
俺は柚のままでいいんだ。
柚だから、こんなに山形と仲良く出来る。
文化祭が終わったら、もう一緒にいられなくなるな。
また犬猿の仲に戻るんだろうな。
だからその前に告白したい。
……だけど、出来るはずもない。
山形は戸崎柊が嫌いだから。
あれ、でも、入れ替わりに気付いてる?
気付いてるはずねーよ。
俺の考えは無限ループを繰り返す。
やべーな、俺のアタマ。
とうとういかれちまったか。