柚と柊の秘密
「うわぁーッ!
柊の家って大きくて超おしゃれじゃね?」
あたしの家に着いた瞬間、優二君が騒ぎ出す。
確かにあたしの家はちょっといい家。
それはお父さんが必死に働いてお金を貯めたからだって。
家族の住みやすい家を建てるために。
そんなお父さん、かっこいいと思うな。
門を開け、お母さんが手入れしている庭を通り過ぎ、家の中に入る。
明るい吹き抜けの広い玄関。
またここで、
「すげー!」
優二君が大声を出す。
恥ずかしいからやめてよぉ。
優二君の大声を聞いて、家の奥からお母さんがやってきた。
ビクッとするあたし。
お母さんにこの姿を見られたくない。
だけどお母さんは入れ替わりには突っ込まず、
「柊のお友達だよね」
なんて笑顔で言う。
「気にせず自由に練習していってね」
はぁ……お母さんって神だ。
ほわーんとしているけど、突っ込んで欲しくないことは分かっていて。
今回も、あたしたちの入れ替わりについてはスルーだ。
ありがとう、お母さん!!
あたしは笑顔で頷いて、地下室へ降りる。
さぁ、練習だ!
柊のため……ではなく、健吾君のためにも!!
あたしのせいで坊主になっちゃいけないから。