柚と柊の秘密








家に帰ると柚がなんだか赤い顔をして考えこんでいた。




「どうしたんだ?」




そう聞くと、驚いて飛び上がる。

考えすぎて俺様の存在に気付いていなかったのか。

柚のくせにどうしたんだろう。





柚は俺の顔を見て、思い出したかのような表情をする。

そして俺に告げる。




「柊、ごめん」



「あぁ、坊主のことだろ」




そう言うと、知ってるのとさらに恐縮してしまう柚。

こんな柚に怒りたいのはやまやまだ。

だけど、そんな気すらなくしてしまって。




「仕方ねぇ。

負けたら坊主になってやるよ」




俺はそう言っていた。






柚は驚いた顔で俺を見る。




「でも甘えんな!しっかり練習しろよ!!」




俺のせいで柚に迷惑をかけまくっているのに、俺はこんな超上から目線の言葉を吐いて、自分の部屋に戻った。






はぁ、俺、どうしちまったんかな。

坊主なんて死んでもなりたくないはずなのに。

……意気消沈してるんだ。

山形が、性格のいい坊主となら付き合いたいっていうから。

分かっていたけど、山形、イケメンには興味ないんだよな。




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