柚と柊の秘密
「あんたの時代は終わったんだよ」
ん?
「今まで言うことを聞いてやったけど、これからは逆らってもいいよね。
だってあんた、無力だもん」
喧嘩?
いや、いじめか?
俺は反射的に声のするほうに歩いていた。
「戸崎さん?」
後ろから山形の少し戸惑った声が聞こえる。
女たちの声は、上の階の踊り場から聞こえていた。
この上は屋上しかないため、人通りが少ない。
何かするにはもってこいの場所だ。
そんなところに、数人の女子がいた。
一人の女子が床に座り、その派手な茶髪を引っ張り上げる女子。
その顔は、面白そうに歪んでいた。
「あんた、好き放題だったよね?
これくらいどうってことないよね?」
そう言って、別の女子が頭からバケツの水をかぶせる。
ターゲットの女子は俯いて震えていた。
いじめ……
終わったんじゃねぇのか。
こいつら、俺の次のターゲットを見つけやがったのか。