柚と柊の秘密





「おい」




俺は女子たちを睨み、静かに呼びかける。

女子たちは俺を見て顔を輝かせた。

そして、またまたフレンドリー攻撃だ。





「戸崎さん!

今までこいつにいじめられてきたでしょ?」



「戸崎さんもやっちゃえよ」



「……はぁ?」




俺はつぶやき、ターゲットの女を見る。

そいつは身体をびしょびしょに濡らし、震え、涙を流しながら俺を見た。





そうだ。

俺はこいつが憎かった。

こいつが俺をいじめた張本人の浅井だから。






父親が理事長を解任されてから、こいつがいじめのターゲットになっていたらしい。

自業自得だ。

だけど……

いじめ、こいつだけが悪かったのか?

俺はそうとは思わない。








「てめぇら……」




俺は女子たちを睨み、再び静かに言う。




「いじめばっかりして、恥ずかしくねぇのかよ」




女子たちは口をぎゅっと閉じる。

その中で、浅井の髪を引っ張っていた気の強そうな女が口を開いた。





「あんた、ムカつかないの?」



「ムカつくに決まってんだろ」




俺は吐きすてる。




「この浅井って女、最高にムカつく。

それと同じくらい、てめぇらもムカつく」




浅井は驚いた顔で俺を見る。

そんな浅井に目も合わせず俺は言った。




「俺は、みっともねぇいじめには加わらねぇよ」







この日からだった。

とある女子がやたら俺につきまとうようになったのは。




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