柚と柊の秘密
「戸崎さん、あたしもご飯一緒に食べていい?」
いつものように山形と昼食を食べていると、そいつがやってきた。
小柄で髪が長く、人形みたいな瞳をしている。
一般的に見て、可愛い部類に入る女だ。
俺が男なら、容赦なく抱いているようなモロ好みの女。
彼女は机を寄せ、俺の隣に座る。
それでも山形に夢中の俺はイラつくばかり。
こいつだっていじめに加担していたくせに、俺に媚び売ってくるのか。
俺は無視して山形と話を続けようとした。
だけど……
「戸崎さん……ごめんなさい」
彼女は目の端に涙を溜めて言う。
「あたし、怖くて戸崎さんがいじめられている時何も出来なくて」
「……」
「戸崎さん、怒ってもいいのに浅井さんのこともスルーだし。
……本当に尊敬して。
あたしも戸崎さんみたいにかっこいい女になりたいって思ったの」