柚と柊の秘密
屋上へ逃げるあたし。
肩で息をしていた。
どうやって隠そう。
どうやって弁明しよう。
男だけのグループがいいと言っていたの、優二君だよね。
柊が柚だと知ったら、どんな反応するんだろう。
まさか、解散なんてことにならないよね。
怖い……
怖いよぉ。
「おい!」
優二君の声が聞こえ、再び全身の毛が逆立つ。
あぁ、こうなるの、分かっていたんだ。
始めから入れ替わりなんて無理だったんだ。
みんなを騙したバチが当たったんだよぉ。
目の前に優二君の顔が見えて。
その目を見ることなんて出来なくて、ウィッグを押さえたまま俯向くあたし。
「お前……柊じゃないのか」
優二君の声が驚くほど静かで。
涙が出そうなほど怖い。
あたしは俯いたまま、声を振り絞る。
「ごめんなさい……」
優二君、ごめんなさい、騙して。
柊、ごめんなさい、バレちゃって。
そして健吾君、ごめんなさい。
あたしのこと、庇ってくれたのに。
もう、あたしたちおしまいだ。