柚と柊の秘密
「優二」
新しい声が聞こえ、優二君が言葉を切った。
その声はあたしの胸を熱くする。
こんな状況なのに、鼓動を早くする。
あぁ……
やっぱり駄目だ。
あたしは彼が好き。
「健吾」
優二君の声が聞こえる。
「健吾も何か言ってやれよ。
柊の妹が柊になりきってたんだぞ?」
ドクドクドクドク……
耳の中からも聞こえる、速い鼓動。
健吾君が大好きで、でも、今の状況が怖くて。
もう、どうすればいいのか分からない。
何を言うべきなのかも分からない。
ただ一つ分かること、泣いてはいけないってこと。
涙は女の武器。
そう言われるのがすごく怖い。
「それがどうした」
健吾君はやっぱりあたしの味方をしてくれる。すごく嬉しい。
でも……
「戸崎はメンバーと付き合うつもりはないと言っている」
健吾君の言葉に、泣きそうになる。
そう、健吾君も聞いてしまったんだね。
そして、納得してるんだね。
あたしの気持ち、健吾君に伝えられないんだ。