柚と柊の秘密
酷く沈み込むあたし。
だけど、優二君は妙に納得してしまって。
「そうか。戸崎さんがそのつもりなら」
なんて言う。
そして、極めつけは
「ま、文化祭までのつきあいだし」
その言葉があたしの心を深く抉る。
言われなくても分かっていた。
柊との約束も、文化祭までだから。
でもね、苦楽を共にして一緒に頑張ってきた仲間なんだ。
文化祭までのつきあいだなんて言われると、酷く寂しい。
健吾君はもう、何も言わなかった。
これ以上あたしを庇ってくれることもしなかった。
優二君の言葉に同意なのだろう。
軽く頷いていた。
あれ……?
でも、健吾君、あたしとプロを目指したいって言ってくれたよね。
文化祭後も、あたしと関わるつもりだったんだよね。
あたしは階段を下りていく、健吾君と優二君の後ろ姿をぼーっと見ていた。
優二君にもバレてしまった。
そして、優二君は否定的だった。
仲良しグループだったのに、仲違いをしてしまった。
加えて、健吾君とのプロ入りの話も、どうすればいいのか分からない。
というより、決心がつかない。
……あたし、どうなるんだろう。