柚と柊の秘密









「柚、大丈夫か?」




慎也君が帰ったあと、健吾君があたしを心配してくれる。

こんな健吾君の優しさが嬉しい。

健吾君がいなかったら、あたしは不安で粉々になっていただろう。

それなのに、




「うん、大丈夫」




強がってしまうあたし。

健吾君に弱いところを見られたくなくて。

そして嫌われたくなくて、強くていい子を装ってしまう。

本当は心が折れそうなのに。








「大丈夫だよ。

だって、バンドも文化祭まででしょ?

だから、文化祭のために頑張ればいいんだ!」




健吾君は黙ってあたしを見る。

あたしの弱い心の内を健吾君に悟られてしまいそうで。

あたしは必死に喋る。





「時には割り切りも必要でしょ?

あたしは柊じゃない。

だから、文化祭終わったら優二君たちとは他人になってしまうし……

もちろん恋愛しても意味ないし。

だから……」



< 309 / 363 >

この作品をシェア

pagetop