柚と柊の秘密
「柚、大丈夫か?」
慎也君が帰ったあと、健吾君があたしを心配してくれる。
こんな健吾君の優しさが嬉しい。
健吾君がいなかったら、あたしは不安で粉々になっていただろう。
それなのに、
「うん、大丈夫」
強がってしまうあたし。
健吾君に弱いところを見られたくなくて。
そして嫌われたくなくて、強くていい子を装ってしまう。
本当は心が折れそうなのに。
「大丈夫だよ。
だって、バンドも文化祭まででしょ?
だから、文化祭のために頑張ればいいんだ!」
健吾君は黙ってあたしを見る。
あたしの弱い心の内を健吾君に悟られてしまいそうで。
あたしは必死に喋る。
「時には割り切りも必要でしょ?
あたしは柊じゃない。
だから、文化祭終わったら優二君たちとは他人になってしまうし……
もちろん恋愛しても意味ないし。
だから……」