柚と柊の秘密
だけど……
「きゃぁぁあっ!」
歓声が聞こえる。
「柊先輩、カッコイイ!」
……え?
どうなってんの?
頭を押さえたまま、目を開ける。
いつの間にか、コートの周りにはギャラリーが出来ていて。
みんな目を輝かせてあたしを見ていた。
そして、チームメイトの男子は目を丸くしてあたしを見ている。
「柊、ナイス!」
……え?
「ナイスヘディング!
あんなヘディングシュート、取れるはずがねぇよ!」
はぁぁぁあ!?
もう、どうなってんのぉ?
「はは……チョロいよ」
ヤケになって、あたしは答えていた。
なんだかんだで神様は味方してくれた。
でも、いつまでもこの調子でいられるはずがない。
早いとこギター辞めるって言って、柊と変わってもらお。
あたしはそんなことを考えていた。
運命の歯車が動き出していたことなんて、全く知らずに。