柚と柊の秘密








とうとうやってきた文化祭。

俺は相変わらず腕を絡ませてくる里穂ちゃんを適当に相手しながら、校内を歩いた。

食べ物屋にコスプレ、展示。

たくさんの出し物があったが、俺の興味はただ二つ。

柚のバンドと、山形だ。

だが、こんな時に限って山形は見つからない。

意を決してサッカー部を見に行ったが、そこにもいない。

あいつ、何してるんだよ。







「戸崎さん、相変わらず彼女とラブラブだね」




すれ違う人はそんなことを言って、




「うっせぇ!ぶっ殺……」




暴言を吐こうとしても、




「でしょぉ?あたしたち、ラブラブなの」




里穂ちゃんに持っていかれる。

里穂ちゃんは予想以上にやり手だ。

この俺が負けているなんて。

早く里穂ちゃんを振り切って、山形のところに行って……

どうなるんだろう。

考えただけでも緊張する。

いずれにせよ、今日全ての結果が出る。

この、短い文化祭の間に。




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