柚と柊の秘密
あたしはギターを抱え、控え室にいた。
まだ出番までには時間がある。
だけど、最後の練習をしなきゃいけない。
猛練習で傷ついた手で弦を押さえ、ピッキングを繰り返す。
何度も心が折れそうになった。
でも、必死で頑張った。
健吾君のため、優二君のためにも頑張らなきゃ。
あれから、もちろん優二君とは話をしていない。
慎也君は何も知らず、あたしと優二君がただの喧嘩をしたと思っていて。
そんな慎也君は危機感もないのか、今は文化祭を楽しんでいた。
静かな部屋に、あたしのギターの音が響く。
そんなあたしを見ていた健吾君が口を開きかけた時だった。