柚と柊の秘密
……が。
「戸崎さん」
優二君はあたしを見て、静かに言った。
「ごめん、無神経なことを言って」
「……え?」
思わず優二君を二度見した。
優二君、すごくすごく怒っているんじゃないの。
なんで……
優二君はあたしを見たまま、ゆっくりと近付く。
そして、再び口を開く。
「一番辛いのは戸崎さんだよね。
柊に乗せられて、無理矢理ギター練習させられて」
なんで……
なんで急にそんなことを言うの?
確かに仲違いしたままだと辛いけど、優しくされるのも辛いよぉ。
あたし、騙してたんだよ?
だけど、優二君はあたしを見たまま、力なく笑った。