柚と柊の秘密





相変わらず身体はガクガク震える。

だけど、予想外の健吾君の言葉に注意が向いてしまう。

パニックを起こしている頭で、必死に考えた。





健吾君、何が言いたいの?






「俺たちは、柚に救われている。

自分を犠牲にしてまで人のために頑張る柚に」




健吾君の言葉に、慎也君と優二君が頷く。




「だから今日は、俺たちを信じて欲しい。

絶対成功させるから」





嬉しい。

そんなことを言ってもらえて、すごく嬉しい。

あたしはみんなを騙していたけど、みんなの役に立てていたのかな。

……大丈夫、みんながいるから。

大丈夫、健吾君がいるから。







あたしは健吾君を見た。

まだ、心臓はバクバクいって、完全にパニックは治まっていない。

でも、さっきよりずっとマシになった。





「ありがとう……みんな。

ありがとう……健吾君」




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