柚と柊の秘密
俺は暗闇の中、山形を見た。
山形も俺を見ていて。
その瞳が少しだけ光を反射して、きらりと輝く。
ドキドキドキドキ……
鼓動が最高潮に達して……
俺は口を開いていた。
「山形……
俺は、柚じゃない。
俺は……ーーーー」
「戸崎」
山形はそう言って、その唇の前に人差し指を当てる。
しーっ。
まるでそう言っているように。
……てか、待てよ。
山形、また俺のこと、戸崎って呼んだ。
俺の思い違いじゃないんだ。
山形は気付いていたんだ。
胸が熱くなる。
焦げてしまいそうに。
俺の手が、山形の滑らかな手に触れる。
そして、それを優しく包む。
「好きだ……
山形が、大好きだ」