柚と柊の秘密





その瞬間、ステージがまばゆく輝く。

生徒が拳を上げ、体育館は黄色い悲鳴に包まれる。

そして、柚たちのライブが始まる。






安定感のあるドラムに、控えめなベース。



そして……







「柊君っっ!!」




女の悲鳴に、俺……いや、柚は手を上げて応える。

それなのに、余裕の表情でギターを鳴らす。

安心して聴ける演奏。

それだけではない。

その音色は俺の心を動かし、ライブに没頭させる。




すげぇ……

柚、こんなギターが出来るんだ。

普通の演奏じゃない。

人の心を掴んで離さない、凡人離れした演奏が。








いつの間にかみんなが立ち上がって、曲に合わせて飛び上がる。




「柊君ーっ!!」




悲鳴がわき起こる。

普段は大人しい柚なのに。

なのに、今日の柚は何かが取り付いたみたいで。

ステージを駆け回り、観客を煽り、飛び跳ねていた。



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