柚と柊の秘密
スポットライトが当たった瞬間、全ての迷いと恐怖が吹っ飛んだ。
そして、あんなに震えていた身体には力が溢れ、あたしはステージへと駆け出していた。
少しも怖くなかった。
むしろ、楽しかった。
目立つのなんて嫌いなのに、何かに取り憑かれたようにがむしゃらにギターを弾いて、飛び跳ねた。
「柊ーッ!」
熱い声援に笑顔で応え、手を上げる。
こんな余裕、どこから出てきたんだろう。
それでも、間違える気なんて全然しなくて。
あたしは完璧にパフォーマンスをこなした。