柚と柊の秘密




「あ、柊。

ギター持ってきたんだろ?

見せてよ」




優二君が言う。




「あぁ……うん」




促されるままに、ギターのケースを開ける。

黒いケースの中には、綺麗に手入れされた木目調のギターが入っていた。

かなりの年期物だが、綺麗に磨かれていて。

弦もピカピカに輝いている。

何だか風格があるギターだと思った。

だけど、あたしは分からなかったんだ。

このギターの真価を。









「……は?……嘘だろ?」




優二君が口をパクパクしている。




「僕だってこれ、知ってる……」




ベース担当だという慎也君も固まっていて。

二人とも、どうしてしまったんだろうと思った。





「本物?触っていい?」



「あ。でも、手垢つくよ」




二人は明らかにそわそわしていて。

こんな二人を見ていると、聞かずにはいられなかった。




「このギター、そんなにすごいの?」




あたしの言葉を聞いて、信じられないとでもいう顔をする二人。

困ったあたしに、優二君が教えてくれた。




「このギター、柊の親父がライブでよく使うやつだろ?

……やべーよ。

一本数百万するよ?」



「はぁぁぁ!?」



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