柚と柊の秘密
里穂ちゃんは笑いながらあたしに言う。
「あたし、柊君のファンだったけど、柚ちゃんのファンになっちゃった。
柊君なんてもういいんだ。
あたしと友達になって」
あたしは大きく頷いた。
柊とは違って目立たなかったあたし。
ファンになったなんて言われたことがなかった。
だけど、あたしの演奏を聴いて、ファンになったと言われて。
すごくすごく嬉しかった。
頑張ったかいがあったよ。
これでね、決心が出来た。
将来のことだから、怖かったんだ。
でも、あたしが夢中になれること、それはきっと音楽なんだ。