柚と柊の秘密
「ねぇ、健吾君?」
あたしは健吾君を見上げる。
再び健吾君の優しい視線を感じて、幸せを感じる。
「あたし、決めたんだ」
健吾君、喜ぶかな。
あたしも嬉しい。
「あたし、健吾君とプロになる!」
「……柚」
健吾君はその切れ長の瞳を見開いて、あたしを見た。
そして次の瞬間、顔をくしゃっとする。
すごくすごく嬉しそうなその笑顔。
この笑顔を見るだけでも、決断したかいがあった。
プロってきっと、すごく険しい道。
お父さんが言ったように、簡単にはいかないことがたくさんある。
でも、健吾君となら頑張っていける気がするんだ。
一緒に頑張っていこう。
健吾君と一緒なら、何だって出来る気がする。
「これからも、ずっとずっとよろしくね」
あたしは、健吾君を握る手に、ぎゅっと力を入れた。
【完】